庚申祓かうしんのはらい

天津祖あまつおや猿田彦さるたひこ大神だいじんそれ庚申かうしんとはいかりるをふ。高神待こうしんまちあまねてんまつことぞ。てんすなは父母ふぼなれば、これまつるを孝心かうしんふ。しかり、福禄ふくろく寛楽くわんらくすみ道祖神だうそじんめぐみかなふ。謹請きんじゃう再拜再拜さいはいさいはい掛巻かけまくかしこ天地あめつち開闢ひらけて道祖みちのおや大神だいじん猿田彦命さるたひこのみこと宇豆うづ廣前ひろまえおそれおそれみもまうす。高天原たかまがはら神留座かみとどまりましま皇親すめむつ神漏岐かむろぎ神漏美かむろみみこともって、天高市あめのたかいち八百萬やほよろづ神等かみたち神集かみあつめあつめたまひ、神議かみはかりはかりたまひて、わが皇孫すめまごみこともっ豊葦原とよあしはら水穂みづほくに安國やすくにたいらげく所知食しろしめせと、あま磐座いはくら押放おしはなち、あま八重雲やゑぐも伊豆いづ道別ちわき道別ちわき天降あまくだり依之奉よざしたてまつりときあま八衢やちまたちまた立迎座たてむかえましまかみはななが七尺ななはたそびらなが七尋ななひろあまりまた口隱くちかくてれり。まなこ八咫やたかがみごと光耀てりかがやくこと赤酸醤あかかがち似多にたり。皇御孫すめみまご奉迎むかえたてまつりて、相待あひまつ朝日あさひ来向きむかふ夕日ゆふひてら日向ひうが高千穂たかちほ櫛觸くしふるだけみちびきたまひ、つひ伊勢いせ狭長田さなだ五十鈴いすず川上かはかみしづまりさだまり、かみみちつつしうやまたまふ。天下あめがしたつち君成きみなるゆゑ國底立神くにそこたちのかみのりたまふ。不視みざる不聽きかざる不言いはざる混沌まろがれはじめまもときしたが出座いでましましかみなりたまひ、くにそこくによりあらうと来者きたるもの降伏したがへまもり怒猛神おにかみのりたまひ、いけものためにはいのち福徳さいはひさずけ太田神おほたのかみなりたまふ。よく神靈みたましいかえし興玉おきたまかみなりたまふ。これみな自然おのづから御名みなにしてものみな證顯しるしありと奉辭稱竟たたえごとをえたてまつる宇豆うづ御食みけ宇豆うづ御酒みき宇豆うづ幣帛みてくら朝日あさひ豊榮登とよさかのぼり捧持ささげもちて奉辭稱竟たたえごとをえたてまつりたいらけくやすらけく知聞食きこしめせあま八平手やひらでうちたてまつる。皇御孫すめみまごみことみちびきまもたまひて、あめした四方よもくにやすおだやかに、なにがしいへうちよりおこ騒擾さはぎなく、ほかよりきたわざはいなく、よるまもりひるまもり神直日じんなほび大直日おほなをび五十鈴いすずみちみちびきことぶきめぐさいはいたまへと祈禱いのりまうすことを、たいらけくやすらけく駒率立こまひきたて所聞食きこしめせと、つつしつつしおそれおそれみもまうす。